遊悠人連載・最終回!

遊悠人

2015年03月27日 10:17



照屋の12年間続いた連載・・
タイムス住宅新聞の「フォトCafe連載」は8年続いたが今日が最終回・・
手元で読めない方むけに、文面も添付しておきます。
長い間、お読みいただき、ありがとうございました!

記憶を刻む家づくり
文・写真/照屋寛公
八年間、書かせて頂いたこの連載が今月をもって一段落し終了することになった。
長かったような短かったような複雑な思いがしている。常に心がけていたのは、専門的な建築用語や硬い内容とせず、時節の話題や沖縄の気候風土そして暮らしの話を普段着の平易な文体で表現したいと思っていた。
 家づくり、設計依頼の相談を受ける折、施主と色々ユンタクをすることから始めている。内容もご夫婦の出身地から生まれ育った地域、幼い頃に住んでいた家やご夫婦の趣味や子供の成長、そしてご両親や仏壇まで様々。いきなり新居の細かな間取りや建物の規模などには話は及ばない。その理由は、ライフスタイルや暮らし方、価値観など千差万別。ましてや初めてお会いする施主ともなれば話す時間も一層長くなる。
 基本的に、家は買うものでではなく施主が自分で造るもの、そのお手伝いをするのが設計者の役目ではないかと思っている。それは新築・リフォーム共、同様に考えている。設計は施主のライフスタイルや価値観に合った住まいを提案し、プロとして適切に応える事で家は完成していいと思う。
 ところで、誰もが幼いころに育った家を記憶している。兄弟喧嘩をした子供部屋、悪ふざけをして親に怒れた庭先、屋根上から眺めた家の周りの風景など。また、通った小中学校の校舎や地域の御嶽(うがん)や友達と遊んだ海や山も同様。家や街そして自然の景色も「記憶」という私的財産と思う。当然ながらその財産は売買のできる財産ではない。家は、その家族が暮らした共有の貴重な記憶装置という財産であると言っても過言ではない。その家族の個性や特徴を可能な限り引き出し、新居の設計に刻むために先ほどのユンタクが必要で大切にしていたい。
八年間の連載を含め、家や暮らし文化・民俗学について十二年間、エッセイやコラムを新聞に書いてきた。この度、設計してきた様々な家の記憶を筆者が撮った写真と共にオールカラーのフォト&コラムとしてまとめることができた。新築・リフォームのヒントや沖縄の風土を楽しむ書になっていると思う。
 長い間、この連載を読んで頂いた皆様、紙面をおかりしてお礼申し上げます。
(建築アトリエ・トレッペン代表・建築家)

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