石垣島・小銭が空から・・!?

遊悠人

2013年09月28日 12:25

 タイムス住宅新聞の連載。

今月は、棟上げの際の餅まきについて書いた!
沖縄ではあまりなじみに薄い餅まきだが、ヤマトゥからの移住者が増えている石垣島でにわかに、増えてきているようだ~
もともとの餅まき小銭まきの由来から、今日的な意義を紙面にかいてある・・
ご覧になってみてくださいね!







                  棟上げと餅まき
                                文・写真/照屋寛公
  家づくりの初めに行われる儀礼に地鎮祭がある。沖縄では方言でティンダティと呼ばれている。手斧(ちょうな)のことを方言ではティーンと呼ぶところから、その名がついたらしい。
 地鎮祭といえば、同様な建築儀礼に「棟上げ」がある。地鎮祭は神主等が取り仕切るのに対して、棟上げは大工の棟梁が取り仕切ることが一般的という。潮の満ちてくる時に行い、棟梁の他大工職人、左官・建具職人、そして施主・親類が参加する。棟上げの祭祀は棟梁が神を降臨させる役割とされているとある。
 ところで、棟上げの際の「餅まき」、テレビ・雑誌等で時々紹介されているが、沖縄ではどうだろうか。竹富島のある古老は、幼いころに棟上げの家があると聞きつけて、小銭の入った餅を拾いに行ったことがあるという。また、南風原では餅ではなく揚豆腐だったということも耳にしたことがある。いずれにしろ沖縄では一般的でなく古くからある風習ではないようだ。
 そもそも、餅まきの由来は、棟上げの際、棟梁によって建物の四隅に大きな餅が置かれたという、その後小さな餅が式に参加した人々でまかれたようだ。家を建てることは、厄災を招くという考えもあり、その厄を避けるために、餅や小銭を持ち帰ってもらうという説がある。また、古来より家づくりは共同体作業、いわゆるユイマール的な共同作業であったところから、富の分配の考えもあったようだ。
 現在、石垣島で住宅兼学習塾の設計・監理をしている、夏休みの八月末、棟上げがあった。棟梁の祈りの後、弓矢、扇子を円形に開いた竿そして五色の吹き流しがたなびく中、餅投げがあった。塾や地域の子供達と大人も交じってにぎやかに行われた。
 餅まき風習は、平安・鎌倉時代まで歴史をさかのぼり、上棟式の「散餅銭の儀」と呼ばれる儀礼が起源とされている。沖縄では目新しい風習だが、建築の喜びを神に感謝し、地域の人々共々祝福することは、地域コミュニティの希薄になった今日、都会でも必要になってきた建築文化かもしれない。
(建築アトリエ・トレッペン代表・建築家)


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